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ターボ車チューニングの極意
 
ブーストコントローラーについて その3
 

ターボ車チューニングの極意
ブーストコントローラーについて その3

 
ブーストコントローラーについてのホントのところ、前回のお話 のつづきです。
今回は 「 ブースト値とパワー 」 についてのホントのところ。



一般的に 「 ブースト圧が上がればパワーも上がる 」 と言われています。
仮に、ノーマル車両でブースト値を何らかの方法で下げれるとすれば、明らかにパワーは低下します。
これに関してはブースト値とパワーの関係は確かに比例しています。
 
しかし、ノーマル車両でノーマル以上にブースト値を上げた場合はどうでしょう?
これは、必ずしもパワーが上がるとは言えません。
例えばブースト値が上がればその分ノッキングも発生しやすくなります。
するとノーマル ECU は点火時期を遅らせてエンジン保護を優先に学習していき、結果的にパワーダウンする事もあるからです。
乗ったフィーリングではブーストがガンガンかかって気持ちよく吹ける印象があり、「 パワーが上がったような錯覚 」 を受けますが、実際は逆だったりする事も。。。
近年のクルマは ECU がシビアなので、特にその傾向が強いと言えます。
まあ、エンジンチェックランプが点いたりする事もあり、そうなるとブーストどころの話ではなくなりますね (^^ゞ


では次に、ブースト値が同じならパワーも同じなのか?
これに関してもそうだとは言えません。
ブーストコントローラーを取り付けると、ノーマルよりもブーストのかかりが良くなるので明確なレスポンスアップやパワーアップを感じます。
例えばノーマルと同じブースト値にセットしても、ノーマルよりパワーを感じる事があるでしょう。
実際にシャーシダイでパワーを計測するとノーマルよりパワーが出ている、…なんてことも実際あります。
ただし、圧倒的なパワー差は当然ながらありません。
パワーの最大値が上がるというよりも、低速域 〜 中速域の向上がメインでしょう。


それでは、マフラーやエアクリを変えた車両のブーストとパワーはどうか?
ノーマルエンジンにノーマル ECU、そこに社外のマフラーとエアクリを取り付けた車両があるとします。
取り付けた社外バーツの性能にもよりますが、それなりに吸気も排気も効率が上がり、ブーストも上がった場合にどうなるのか?
この場合もやはりノーマル ECU に依存している以上、ノーマル ECU の想定範囲を超えるような状態になるとエンジン保護でパワーダウンの学習が行われます。
なので、ある程度までならフィーリングアップや、実際のパワーアップも見込めますが、これも上記と同様で圧倒的なモノではありません。


さらに一歩進んで、エンジンはノーマル、ECU はフラッシュエディター等でチューニングするとブースト圧とパワーの関係はどうなるか?
社外のマフラーとエアクリ、それに適した ECU チューニングが施されていれば、あえてブーストを上げなくてもパワーは上がります。
エンジンのパワーはブーストだけで上がるモノではないからです。
燃調やバルタイ調整など、総合的な適正化によってパワーは大幅に上がる事もあります。
ノーマル時に最大ブースト値が 1.6 もあった車両で、チューニング後に最大ブースト値が 1.4 になっても、燃調・バルタイ調整等のトータル的な底上げで大幅なパワーアップも可能なんです。
パワーを上げながらもブースト値を下げる事でエンジンブローの危険性を回避する事も可能となるでしょう。

ただし、ノーマルエンジンの耐久性を超えるパワーアップは出来ません。
パワーが上がればそれだけ熱量も上がり、エンジンにとっては過酷な状態になってしまいます。
まして上がったパワーに耐えうる構造でないと、エンジンは簡単に壊れてしまう事もあるんです。
「 スバルのエンジンは棚落ち ( ピストン破壊 ) しやすい 」 なんて話もよく聞きますが、無暗にブースト圧とパワーを上げて行けばピストンが崩れて壊れてしまいます。
( チューニングをしてないフルノーマル状態でも、過酷に扱えば壊れます )

だからこそ、ブースト圧の管理はとても重要で、上手く管理してパワーを引き出しながらエンジンも守っていくのが 「 極意 」 と言えるでしょう。
吸排気の効率とバランス、いかに効率を上げてエンジンの大敵であるノッキングを避けるか。
取り付けたパーツに見合う ECU チューニングと、そこからどうブーストコントローラーを使ってパワーを可能な限り引き出すか。
次回はそのあたりについて少し触れたいと思います。

つづく。。。


備考

記事掲載日 : 2020/04/04